近年、生活環境を脅かす様々な問題が顕在化しており、早急な解決に向けた技術開発が求められています。具体的には、室内外の環境破壊を促進する多種多様な有害化学物質への対策、院内感染問題を始めとする抗菌・抗ウイルス対策、土壌汚染対策等が強く望まれており、国の施策のもと健全な経済産業活動と安心・安全な生活環境の実現が急務となっています。
現在上市されている光触媒製品は、紫外光応答型光触媒を用いた製品が中心であり、外装建材、浄化用フィルター材を中心に着実に市場が拡大しているものの、紫外線の少ない室内等での利用は限られています。こうしたなかで2001年には部分的に可視光を吸収する光触媒が我が国で開発されましたが、その性能は現状では室内等の環境で使用するには不十分です。このような紫外線の少ない環境下での光触媒の潜在的ニーズを含めれば、光触媒市場は今後20年間で3兆円近くにまで達するものと見込まれており、可視光照射下においても高い光触媒効果が現れ、消費者や利用者がそれを実感できる製品を普及させるために十分に高感度な可視光応答型光触媒材料の開発が急務となっています。
【出典】NEDO:(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構プレスリリース2012年10月11日より
● 1970年代~80年代
光をあてるだけで水が分解される、酸化チタンの光触媒作用が発見される
(本多・藤嶋効果)。
● 80年代~90年代
酸化チタンの強い酸化力が注目され、環境浄化への利用が考えられる。
● 90年代後半~
光誘起親水性の発見と酸化チタンの薄膜技術により、生活空間にある光を利用した光触媒製品が開発され、光触媒マーケットが形成される。
● 2000年代前半
NEDOが2003年~2005年にかけて実施した「光触媒利用高機能住宅用部材プロジェクト」で、光触媒の超親水性を利用した冷房空調負荷低減システムおよび可視光応答型光触媒を適用した室内環境浄化部材の開発を手掛け、その有効性を実証した。
● 2000年代後半~現在
NEDOおよび東京大学が2007年~2012年にかけて実施した「循環社会構築型光触媒産業創生プロジェクト」で、これまで困難だった光触媒での抗ウィルス効果の実証に成功した。
(出典:NEDO「循環社会構築型光触媒産業創生プロジェクト」基本計画書を参考に作成した。)
NEDO :独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
出典:NEDO:「循環社会構築型光触媒産業創生プロジェクト」ウェブページ